前回の記事では、バレエ三大作品として有名な「白鳥の湖」をご紹介しました。
今回は、同じくバレエ三大作品と言われる「くるみ割り人形」の一般的なストーリーを、幕・場ごとに分かりやすくご紹介したいと思います。
くるみ割り人形は、クリスマスを舞台にした作品。そのためクリスマスが近くなると、公演や発表会がよく行われます。
女の子が主人公の可愛らしいファンタジーストーリーで、子供から大人まで楽しめるバレエ作品です。
また、登場するキャラクターや踊りも、それぞれ個性があり魅力的です。
第2幕のお菓子の国では、スペイン、アラビア、中国、ロシア、フランス、といった様々な国をイメージしたディベルティスマン(余興の連続した踊り)があり、とても華やか。
中でも、お菓子の国の女王である金平糖の精の踊りは、バレエコンクールでも人気のバリエーションです。
第1幕 第1場 クリスマスパーティ
今日はクリスマス・イブ。
クララという少女の家では、賑やかにクリスマスパーティが行われていました。
そこにドロッセルマイヤーというおじいさんがやってきて、クララにくるみ割り人形をプレゼントしてくれました。
クララは「ありがとう」と、嬉しそうにくるみ割り人形を抱きしめます。
それを見ていた兄弟のフリッツは、自分がもらったプレゼントよりも、クララのプレゼントの方がうらやましくて仕方ありません。
クララとくるみ割り人形の取り合いになり、ついには人形が壊れてしまいました。
悲しむクララですが、ドロッセルマイヤーは「大丈夫だよ」と、まるで魔法のように、人形をあっという間に直してしまいました。
やがてパーティが終わり、人形を抱いて眠りについたクララ。
真夜中の時計が鳴り、ふっと目を覚ますと・・・。いつの間にか体が、人形と同じくらいに小さくなっているではありませんか!
巨大に見えるクリスマスツリーの下で驚いているクララに、さらにハプニングが起こります。
たくさんのねずみが、小さくなったクララに襲いかかってきたのです。
「助けて!」とクララが叫ぶと、なんとくるみ割り人形が動き出し、おもちゃの兵隊と共にねずみと戦いはじめました。
クララを守るために、ねずみ達と戦うくるみ割り人形ですが、最後に残ったねずみの王様には苦戦してしまいます。
クララはスキをみて、脱いだスリッパをねずみの王様に投げつけました。
飛んでくるスリッパに気を取られたねずみの王様を、くるみ割り人形は見事にやっつけました。
ねずみの王様を退治すると、くるみ割り人形は素敵な王子に変わりました。
王子は助けてくれたお礼に、クララを雪の国とお菓子の国へと誘います。
第1幕 第2場 雪の国
クララと王子は、雪の国にやってきました。
純白の雪の森を歩いていると、降ってくる雪がきれいな雪の精たちに変わり、踊りはじめました。
「なんてきれいなのかしら」
雪の女王と雪の精たちの、キラキラ輝く美しい踊りを、クララはうっとりと眺めました。
第2幕 お菓子の国
次に2人がやってきたのは、お菓子の国。
お菓子の国の女王である金平糖の精が、クララと王子をお城に入れて歓迎してくれました。
お城は、屋根はクリーム、壁はケーキ、柱はキャンディーでできていて、とても可愛らしくおいしそうです。
そして音楽が流れ、様々な国のお菓子の踊りが賑やかにはじまりました。
スペインのチョコレート、アラビアのコーヒー、中国のお茶、ロシアのトレパック(大麦糖のお菓子)、フランスのミルリトン(タルト)・・・。
最後に王子と金平糖の精が2人で踊るのを見ながら、クララはうっとりと目を閉じました。
目を覚ますと、クララは自分の家にいました。
腕の中には、王子になっていたはずのくるみ割り人形がいます。
「あれは夢だったのかしら?それとも・・・」
クララがくるみ割り人形に話しかけると、人形がにっこり微笑んだように見えました。
王子がドロッセルマイヤーの甥になる場合も
演出によっては、ドロッセルマイヤーの甥が登場します。
ハンサムな甥はクララの夢の中で王子となり、金平糖の精となったクララと一緒に踊るロマンティックな展開も。
白鳥の湖と同様に、くるみ割り人形も演出によって様々な展開がありますので、作品を見比べてみるのも楽しいかと思います。
新国立劇場チャンネルより 3分でわかる!バレエ「くるみ割り人形」